遺言書でよくある質問と注意点

遺言書の作成でよくある質問と注意点について説明します。せっかく作成した遺言書でも、誤った認識や誤解で作成しまったものは、逆に大きなトラブルを招いてしまいます。もし、ご心配であればお早目に専門家にご相談することをおすすめします。

日本では約8%の方が遺言書を残しております。欧米などでは50%~70%と当然にように遺言書を残す習慣があります。遺言書は終活の一環と考えてください、あとに残されるご家族への思いやりが遺言書です。

全ての財産を特定する必要はあるか?

一切の財産とすることで、個別の財産を特定しなくても遺言書に記載することはできます。しかし、終活の一環としての遺言であれば財産を洗い出しておくことをおすすめします。

相続財産をご家族がすべてを把握していることは少ないと思われます。銀行口座、証券口座、不動産、動産などすべての財産を洗い出し、書面として記載することで、ご家族が相続時の面倒な手続きの対応もスムーズにすることができ、心理的にも非常に楽になります。

また、ご自身の財産を洗い出すことで、相続時には処分が困難なものなど(財産的価値の少ない古い家電や家具、趣味の収集物など)は、あらかじめ計画的に処分することを検討することもできます。

財産の一部についての遺言はできる?

特定の財産を、特定の相続人へ遺言することもできます。ただし、特定の財産以外の相続割合も遺言書に記載していないとトラブルのもとになります。

例えば、「自宅の土地・建物の不動産を妻に相続させる」とした場合、自宅以外の不動産や預貯金などの分割割合が遺言書にない場合、下記の3パターンが相続人間で検討することになります。

  1. 自宅の土地・建物を相続財産に持ち戻し、全相続財産として公平に分割する(特定財産は妻が相続するがその他の財産の相続が割合が減る)
  2. 妻は、自宅の土地・建物だけを相続し、その他の財産は他の相続人で分割する
  3. 妻は、自宅の土地・建物を相続するが、その他の財産も妻と他の相続人で分割する

※法律上は 1. が原則となりますが、相続人による遺分割協議の決定が優先されます。

死亡退職金や生命保険金は遺産になる?

死亡退職金については、会社の退職金規定によることになります。 退職金規定で、受取人が指定されている場合には、死亡退職金は受取人のものとなり、相続財産とはなりません。ただし、 退職金規定で受取人の規定がなかったり、相続人が受取人とされている場合には、相続財産となります。

生命保険金も同様で契約内容によりますので、契約書をよく確認してみてください。

※上記は、相続税法上の取扱いとは異なりますので専門家にご相談ください。

公正証書遺言の作成後に財産が増えたら?

遺言書は公正証書にすることでより信頼性が高くなります。しかし、作成後に変更にも費用が発生してしましますので記載方法には十分注意する必要があります。

公正証書遺言の作成後の財産も含めるような遺言書の記載にすることをおすすめします。例えば、「相続開始時に遺言者が有する一切の財産は・・・」など。

また、 公正証書遺言の作成後に特定の財産を売却した場合、その特定の財産に関する遺言については、公正証書を変更しなくても撤回されたものとみなされます。

葬儀や納骨の方法を遺言でできる?

葬儀や納骨の方法についても、遺言書に記載することができます。法律上の効果が発生しない事項は、付言事項として記載します。財産配分の理由、感謝の気持ち、葬儀・納骨の方法などがこれにあたります。遺言書に記載することが、相続人への意思表示となります。また、死後事務委任などでこれらの実行を生前に契約し、専門家に委任することもできます。

散骨については、墓地、埋葬等に関する法律においてこれを禁止する規定はありません。そのため、事務上は節度の範囲内であれば問題ないとされております。ただし、他人の私有地や漁業権のある場所、条例などで規制されている場合がありますので、専門の業者にご相談することをおすすめします。また、誰に散骨のための遺骨を委託するのか遺言書にも記載しておくことで相続人間でのトラブルを防止できます。

当事務所で対応した場合

不明点があれば、お気軽にお問い合わせください。

参考

その他下記リンクの内容も、是非ご参考にしてください。