事実婚に関する合意書について

事実婚は婚姻届を出さない新しい結婚のスタイルです。法律上の婚姻をしなくとも、結婚の意思をもって共同生活をすることで事実婚とみなされます。別居状態での婚姻など住民票などで事実婚を証明しにくい場合、法律婚で発生する法律上の”権利と義務”を合意書で補うことをお勧めします。

結婚証明書

法律上の決まった要件はなく、下記の事項がより多く合致していることが必要になります。

  • 夫婦として周囲に周知されている
  • 結婚契約書を取り交わしている
  • 住民票に未届の配偶者として申請している
  • 生計を同一としている
  • 長期間の同居
  • 2人の間に子供が生まれ、父親が認知している
  • など

法律婚との制度や運用における扱い

法律婚の取扱いと異なるもの

各種制度・権利・義務等法律婚事実婚
配偶者の相続権ありなし
相続税の配偶者の税額軽減ありなし
所得税の配偶者控除ありなし
父子関係の成立嫡出推定認知
親権夫婦共同親権単独親権(原則母親)
普通養子縁組可能可能
特別養子縁組可能不可
住民票の記載夫/妻夫(未届)/妻(未届)
夫婦間の契約取消権ありなし
住宅ローンの収入合算可能一部の金融機関で可能
出展:内閣府男女共同参画局総務課調査室

法律婚の取扱いと同等なもの

各種制度・権利・義務等法律婚事実婚
社会保険認められる認められる
国民年金の第3号被保険者認められる認められる
公的年金制度の給付認められる認められる
育児・介護休業法に基づく各種制度可能可能
生活保護制度における世帯認定認定される認定される
保育料算定の際の世帯認定認定される認定される
労働災害の遺族補償年金受給可能受給可能
犯罪被害者遺族給付金給付される給付される
日常家事債務の連帯責任ありあり
出展:内閣府男女共同参画局総務課調査室

事実婚合意書を公正証書とする

事実婚には、法律婚ではないが故の課題があります。合意書を法的に信頼性のある公正証書とすることで、法律婚に近い権利関係を築くとともに、第三者に対してもお二人の関係性を証明できます。

合意書(契約書)にすべき項目

  1. 目的
    • 当事者間に実質的な婚姻意思があることを宣言
  2. 誓約事項
    • 契約当事者の関係を確認するとともに、誓約文言を規定
  3. 遵守事項
    • 婚姻等の禁止、同居、協力及び扶助の義務を規定
  4. 委任事項
    • 療養看護、死後事務などを規定
  5. 財産の帰属
    • 当事者間における財産の帰属、共有財産の規定
  6. 子に関わる事項
    • 認知、教育監護について規定
  7. 契約解除
    • 合意解除にともなう規定
  8. 損害賠償
    • 不貞行為等の契約解除にともなう賠償について規定
  9. など

公正証書にするための手順

当事務所へお問合せ

内容を簡単に確認させていただき、今後の進め方を調整し、見積をご提示致します。

対面でのお打ち合わせ や オンラインでのお打ち合わせ、または メールベースでやり取りなど、ご希望の方法で必要となる情報を確認させていただきます。

STEP
1

合意書案の作成と確認

当事務所より合意書案をご提示致します。

各条項の説明と過不足確認を行います。

STEP
2

公証人との調整

合意書案ができた時点で、公証人と今後の進め方を調整致します。

合意書についても、公証人と法的な観点を含めて再確認を行います。

STEP
3

公証役場での公正証書作成

当事者に立ち会いのもと、合意書を公正証書とします。

公正証書については、公証役場で20年保管されます。

STEP
4

報酬お支払い

全てが終わったタイミングで報酬をお払い頂きます。

STEP
5

当事務所で対応した場合

不明点があれば、お気軽にお問い合わせください。

事実婚とは Wikipaedia抜粋

事実婚(じじつこん)とは、婚姻事実関係一般を意味する概念。「事実婚」の概念は多義的に用いられ、婚姻の成立方式としての「事実婚」は「無式婚」ともいい要式婚(形式婚)と対置される概念であるが、通常、日本では「事実婚」は法律婚(届出婚)に対する概念として用いられている。

日本における事実婚

概要

事実婚の概念が内縁と区別して用いられる場合、一般に内縁関係においては当事者間に婚姻意思がありながらも届出を出すことができないような社会的事情がある場合を含んでいたのに対し、内縁とは区別して事実婚という概念を用いる場合には特に当事者間の主体的な意思に基づく選択によって婚姻届を出さないまま共同生活を営む場合を指して用いられる(法律婚に対する事実婚)。

2022年現在、法律上の同性結婚が認められていない日本では、同性カップルがやむを得ず事実婚の状態になることがある。2021年3月19日、同性カップル間でも内縁関係が成立するとの司法判断が最高裁で確定した。

事実婚の選択理由・背景

事実婚を選択する理由としては、夫婦別姓の実践や家意識への抵抗、職業上の必要性などが挙げられる。そのような事実婚夫婦の中には選択的夫婦別姓制度の早期導入を望む声もみられる。

事実婚の取り扱い
住民票の記載

法律婚ではないため戸籍の移動を伴わず、従前戸籍のままで姓も変わらない。住民基本台帳法には世帯主でない者には「世帯主との続柄」を記載するように規定しているため、「同居人」もしくは「夫(未届)」「妻(未届)」と記載されるが、各自治体に任されているのが現状である。
住民票続柄を「未届の妻(夫)」とすることで世帯(住居及び生計を共にする者の集まり)が同一となり、事実婚と同棲とをはっきり区別させることができるようになる。

このため、勤務先から家族手当を受けたり、生命保険の受取人になることができる(ただし勤務先の規定や保険会社の規定による)。なお、単身赴任等で世帯を同一にできない場合は、このような記載をすることはできない。
子どもは母親の姓で戸籍上「非嫡出子」となり、住民票の続柄には「子」と記載されるが、家庭裁判所の判断で父親の戸籍に入り父親の姓にすることもできる。

自治体パートナップ条例

東京都や茨城県など、自治体によっては、同性カップルのみでなく事実婚カップルに対してもパートナーシップ関係にあることを公的に認める制度を取り入れるところが増加している。

社会保険上の取り扱い

年金(国民年金厚生年金)や公的医療保険健康保険船員保険等)においては、事実婚である旨の申出があれば、要件に合致していれば扶養遺族年金の受給等において法律婚と同様に取り扱うものとされている。

次の要件を備える場合、事実婚関係にある者と認められる(平成23年3月23日年発0323第1号)。

  • 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること。
  • 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること。

もっとも、上記の認定の要件を満たす場合であっても、原則として当該内縁関係が反倫理的な内縁関係である場合、すなわち、民法第734条(近親婚の制限)、第735条(直系姻族間の婚姻禁止)又は第736条(養親子関係者間の婚姻禁止)の規定のいずれかに違反することとなるような内縁関係にある者については、これを事実婚関係にある者とは認定しないものとする。

また、重婚的内縁関係については、婚姻の成立が届出により法律上の効力を生ずることとされていることからして、届出による婚姻関係を優先すべきことは当然であり、従って、届出による婚姻関係がその実体を全く失ったものとなっているときに限り、内縁関係にある者を事実婚関係にある者として認定するものとする。

事実婚における問題点

事実婚は、法的には婚姻に当たらないため、様々な問題も存在する。

法的な問題点

まず、家族法上の観点では、子どもがいる場合はどちらかしか親権を持てない(共同親権が持てない)、子を認知したとしても戸籍には子の立場として婚外子(非嫡出子)と記載される、自分が死んだ際に相手に相続権がない(遺贈するための遺言を残す必要がある)、しかも、法律婚における配偶者への遺産分割や遺贈の場合は税額の軽減があるが、事実婚の場合、特に相続財産が大きい場合には相続税の面で大きな経済的デメリットがある、などの問題点がある。また、離婚の際の財産分与や慰謝料等の支払いで、法律婚ではかからない贈与税が発生する場合がある。夫婦の一方が認知症などで判断能力が衰えた場合などに、成年後見を開始しようとしても、成年後見開始の申し立てをすることができない(そのような事態になる前に任意後見契約を結ぶ必要がある)。

日常生活上の問題点

日常生活上の不都合としては、「配偶者」との家族関係を証明しにくい。そのため、家族の手術署名ができない場合や、入院家族の病状説明を断られたり、事故時などの保険金の請求は法律上の親族に限られ事実婚では難しく、生命保険の受取人や住宅ローン連帯保証人になりにくい、法律婚では取得できる配偶者の戸籍抄本などを取り寄せることはできない、などの問題がある。また、夫婦の一方が海外赴任等をする際に、事実婚では配偶者ビザや永住権が認められないことが多い。介護等のための福祉施設への夫婦としての入居を断られることもある。

経済・コスト上の問題点

さらに、法律婚の場合と比較して、上記の相続時等の不利益以外にもさまざまな経済的な不利益がある。具体的には、確定申告配偶者控除が受けられない、医療費控除の夫婦合算ができない、不妊助成が受けられないなどが挙げられる。またクレジットカードマイレージ携帯電話契約等の家族会員・家族割等の適用、海外旅行保険の家族セットの適用など、事実婚では難しい場合があったり、勤め先からの家族手当等の支給がされない場合があったりする。また他にも、仮に夫婦間問題が起こった場合も法律的には結婚していないので結婚していれば可能な損害賠償が認められない場合がある、など様々な問題が挙げられる。

回避策として考えられる方策

旧姓通称使用

これらの問題を回避する方策として、事実婚ではなく結婚後旧姓通称使用することも考えられるが、その場合も様々な問題点がある。

さらに別の方策として、普段は婚姻状態をとるものの旧姓を通称として用い、必要に応じて離婚し旧姓に戻り、旧姓での証明書を得るなどの手続きを行った後再び婚姻する夫婦もみられる。このような目的で離婚・再婚を行うことをペーパー離再婚とよぶ。逆に、普段は事実婚状態で、子供の出生時などにのみ婚姻状態をとる夫婦もみられる。なお、これらの場合再婚相手が同じ人物であるため、民法第733条が定める女性の100日間の再婚禁止期間待婚期間)は適用されない。ペーパー離再婚における離婚期間は事実婚の状況となる。ただ、この場合、離婚期間中に得た証明書等を再婚中に用いることには法律的な問題が考えられる。議論されている施策

これらの問題のため、氏を変更しなくても法律婚をすることのできる選択的夫婦別姓制度を求める議論があるほか、事実婚に対するより厚い法的保護の必要性についての議論がある。「夫婦別姓」、「#事実婚の法的保護に関する議論」、および「旧姓#旧姓の通称使用」も参照


事実婚」『ウィキペディア フリー百科事典日本語版』(https://ja.wikipedia.org/

最終更新日時:2022年7月16日 08:35(日本時間)
アクセス日時:2022年8月06日 16:15(日本時間)