難民認定制度とその申請について
1981年に日本が難民条約※1に加入したことに伴い、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員、政治的意見を理由として、帰国することによって迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する人を難民と認定し、日本での在留許可を与えるための制度です。
※1:難民条約とは、「難民の地位に関する条約」及び「難民の地位に関する議定書」
上記の条約難民以外では、インドシナ難民、 第三国定住による受入れが難民認定制度の対象となります。
現状について
難民認定が許可される割合は非常に低く、その審査期間(一次審査と審査請求で約3年)も長いのが現状です。
技能実習や留学などの在留資格から、安易に難民認定しても許可される可能性はとても低いので申請には慎重な判断が必要となります。
手続きの流れ
※「理由なし」となった場合、前回と異なる理由で再度難民申請するか、難民不認定処分取消訴訟をすることになります。
申請手続
- 申請書、写真、立証資料などを申請者の住所を管轄する出入国在留管理局へ申請
- 難民であることの立証確認のため、難民調査官による面接
仮滞在許可
在留資格の無い申請者(不法滞在者等)から難民認定申請があった場合、一定の要件を満たす場合に日本に滞在することを許可され、その間は退去強制手続が停止されます。
仮滞在許可書が交付されます。住居や行動範囲が制限され、就労も禁止されます。
仮滞在期間は、原則として6ヵ月で、許可期限の10日前から更新申請が可能です。
特定活動
短期滞在や留学など在留資格のある申請者からの難民認定申請があった場合、特定活動の在留資格が与えられられます。
難民認定申請が受理されると、2ヵ月の特定活動の在留資格が与えられます。この間に、難民申請を確認し、内容に応じて グループに振り分けられます。
分類 | 振分け内容 | 振分け後 |
A案件 | 難民条約上の難民である可能性が高いと思われる、または、本国情勢等により人道上の配慮を要する可能性が高いと思われる | 速やかに特定活動(6月:就労可)を付与 |
B案件 | 難民条約上の迫害事由に明らかに該当しない事情を主張している | 在留制限 |
C案件 | 再申請で正当な理由なく前回と同様の主張を繰り返している | |
D1案件 | 人道配慮の必要性を検討する必要があり 本来の在留活動を行わなくなった後に難民認定申請した、または出国準備期間中に難民認定申請した | 特定活動(3月:就労不可) |
D2案件 | 人道配慮の必要性を検討する必要があり D1以外 | 特定活動(3月:就労不可)を2回、その後 特定活動(6月:就労可) |
<D2の場合の難民申請後の流れ>
- 特定活動2ヵ月(振分け期間、就労不可)
- 特定活動3ヵ月(就労不可)
- 特定活動3ヵ月(就労不可)
- 特定活動6ヵ月(就労可)
難民認定の判断
法務大臣が難民であると認定した場合、難民認定証明書が交付され、難民としての各種の保護措置を受けることができます。
難民の認定を受けた場合、原則として在留資格「定住者」が与えられます。
審査請求
難民の認定をしない旨の通知又は難民の認定を取り消した旨の通知を受けた日から7日以内に審査請求することができます。
申請必要書類
- 難民認定申請書
- 写真2葉(在留資格未取得の場合は3葉)
- 難民であることを証明する資料
- その他
- 旅券又は在留資格証明書 (旅券又は在留資格証明書が提示できない場合は、その理由を記載した書面1通を提出)
- 在留カード(所持している場合)
- 仮上陸の許可、乗員上陸の許可、緊急上陸の許可、遭難による上陸の許可又は一時庇護のための上陸許可を受けている場合は、その許可書
- 仮放免中の場合は、仮放免許可書
FAQ
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難民申請中に他の在留資格へ変更したい
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申請は可能ですが、認められる可能性は厳しくなります。そもそも、本当に難民申請が十分に理由のあるものであったのか、印象として虚偽のイメージを持たれ、在留資格変更の審査に影響がある可能性があります。
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難民であることの立証資料がありません
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この資料が十分でない場合、審査官と面接を行い口頭で説明することになります。審査官も事前調査を行っていますので、保護が必要な理由を正しくに説明する必要があります。