クラウドサービス利用規約に記載すべき内容
利用者はクラウドサービスの利用規約に基づき、必要なサービスを選択したうえで利用申込書を提出し、サービス提供者(プロバイダ)がこれを承諾することにより、利用者とプロバイダとの間のクラウドサービスに関する利用契約が成立します。
記載すべき内容
クラウドサービスの利用規約の条項として、下記のような内容を記載することをおすすめします。
第1章 総則
- 第1条(利用規約の適用)
- 第2条(定義)
- 第3条(通知)
- 第4条(利用規約の変更)
- 第5条(権利義務譲渡の禁止)
- 第6条(合意管轄)
- 第7条(準拠法)
- 第8条(協議等)
第2章 契約の締結
- 第9条(利用契約の締結等)
- 第10条(認定利用者による利用)
- 第11条(変更通知)
- 第12条(一時的な中断及び提供停止)
- 第13条(利用期間)
- 第14条(最短利用期間)
- 第15条(契約者からの利用契約の解約)
- 第16条(サービス提供者からの利用契約の解約)
- 第17条(本サービスの廃止)
- 第18条(契約終了後の処理)
第3章 サービス
- 第19条(本サービスの種類と内容)
- 第20条(本サービスの提供区域)
- 第21条(再委託)
第4章 利用料金
- 第22条(本サービスの利用料金)
- 第23条(利用料金の支払)
- 第24条(遅延利息)
第5章 契約者の義務
- 第25条(自己責任の原則)
- 第26条(利用責任者)
- 第27条(本サービス利用のための設備設定・維持)
- 第28条(ユーザID及びパスワード)
- 第29条(バックアップ)
- 第30条(禁止事項)
- 第31条(認定利用者の遵守事項等)
- 第32条(認定利用者が利用契約に違反した場合の措置)
第6章 サービス提供者の義務
- 第33条(善管注意義務)
- 第34条(本サービス用設備等の障害等)
第7章 秘密情報などの取り扱い
- 第35条(秘密情報の取り扱い)
- 第36条(個人情報の取り扱い)
- 第37条(第三者の権利侵害)
第8章 損害賠償
- 第38条(損害賠償の制限)
- 第39条(免責)
利用規約のポイント
- 免責規定について
- サービス提供者の責任を全て免除とする規定は無効となります。
- BtoCの場合、消費者契約法が適用されます。
- BtoBの場合、軽過失の場合には免責とする規定は有効とする判例があります。
- 損害賠償額の上限について
- リスク排除のため、所定の金額(本サービスに係わる料金の平均月額料金など)までとする規定すべきです。
- 免責の範囲も条件として規定すべきです。
- サービスの変更について
- 環境変化、改善、法改正などで機能が追加・変更される可能性があること、機能が削除される可能性もあることなど不満が生じる可能性があることを規定しておくべきです。
- データの取扱いについて
- 所定の手順や規約を遵守しないことによる個人情報の漏洩などの賠償責任について規定しておく。
- 個人情報保護法にもとづく利用者の同意。
- その他、下記の内容についても十分に考慮して規程すべき
- SLA(サービスレベル合意)
- 各種通知(利用規約の変更など)の期日
- セキュリティ
- ユーザーの地位譲渡の禁止
- 反社会的勢力の排除
- 準拠法、紛争時の合意管轄裁判所
契約書FAQ
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利用規約と使用許諾書の違いは?
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使用許諾契約はパッケージソフトウェアなどにおいて、知的財産権を保有する人の権利を侵害しないために締結するものです。差し止め請求や損害賠償請求を受けるリスクを回避するためのものです。
利用規約は、サービスを提供する側が利用者に対して、サービスを利用する際のルール(禁止事項含む)を提示するものです。また、利用規約には使用許諾の内容を含んでいることが多く、アプリやインターネット上のサービスを利用する前に利用規約を提示し、利用者が同意するとそれらを利用可能とするものです。
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利用規約の同意を前提とするシステム利用契約書には印紙が必要になりますか?
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原則、印紙は不要です。
無形財産権を譲渡することにならないため、印紙税法の課税文書に該当しません。
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クラウドサービスの提供者との契約は請負契約でしょうか?
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一般的なクラウドサービスについては、準委任契約となります。
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