相続税の計算方法について
相続によって取得した財産の合計価額が基礎控除額を超える場合は、相続税の課税対象となります。また、遺言書による遺贈の場合は、贈与税ではなく相続税となりますので注意が必要です。
相続手続きの流れはこちらになります。
基礎控除額
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)= 基礎控除額
- 法定相続人に遺贈を受けた方は含めません。
- 生命保険金、死亡退職金は、それぞれ「500万円×法定相続人の数」は非課税となります。
財産の価額
- 宅地
- 路線価方式
- 路線に面する標準的な宅地の1㎡当たりの路線価を基に計算します。
- 倍率方式(路線価が定められていない地域)
- 固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて計算した金額で評価します。
- 路線価方式
- 建物
- 建物の固定資産税評価額によって評価します。
相続税の計算方法
- 法定相続分(遺贈者は含めない)どおりに取得したものと仮定して「遺産総額」を確定
- 「遺産総額」から「基礎控除額」を引いて、「課税遺産総額」を算出
- 「課税遺産総額」を法定相続分で按分して「按分額」を算出
- 「按分額」から税率と控除額を計算して、「相続税の総額」を算出する
- 「相続税の総額」を相続割合(遺贈者も含める)で配分する
- 配偶者の税額軽減(配偶者の法定相続分または1億6,000万円まで非課税)のほか、各種の税額控除(未成年者控除、障害者控除など)を差し引いて、実際の税額を算出する
- 法定相続人以外は、税額を2割加算する
<相続税の計算例>
- 被相続人:夫
- 相続人:妻、長女、次女、被相続人の弟
- 遺産総額:2億円
- 相続割合
- 2/5:妻
- 1/5:長女
- 1/5:次女
- 1/5:被相続人の弟(遺贈)
- 法定相続分(遺贈者は含めない)どおりに取得したものと仮定して「遺産総額」を確定
- 遺産総額:2憶
- 「遺産総額」から「基礎控除額」を引いて、「課税遺産総額」を算出
- 2憶ー(3,000万円+(600万円×3))=1憶5,200万円
- 「課税遺産総額」を法定相続分で按分して「按分額」を算出
- 妻 :1憶5,200万円×1/2=7,600万円
- 長女:1憶5,200万円×1/4=3,800万円
- 次女:1憶5,200万円×1/4=3,800万円
- 「按分額」から税率と控除額を計算して、「相続税の総額」を算出する
- 妻 :7,600万円×30%-700万円=1,580万円
- 長女:3,800万円×20%-200万円=560万円
- 次女:3,800万円×20%-200万円=560万円
- 合計:1,580万円+560万円+560万円=2,700万円
- 「相続税の総額」を相続割合(遺贈者も含める)で配分する
- 妻 :2,700万円×2/5=1,080万円
- 長女:2,700万円×1/5=540万円
- 次女:2,700万円×1/5=540万円
- 被相続人の弟:2,700万円×1/5=540万円
- 配偶者の税額軽減のほか、各種の税額控除を差し引いて、実際の税額を算出する
- 妻 :法定相続分より少ないため非課税
- 長女:540万円
- 次女:540万円
- 法定相続人以外は、税額を2割加算する
- 被相続人の弟:540万円×1.2=648万円
相続税の税率と控除額
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | – |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
その他
- 相続人以外の方への特定遺贈(遺産のうち特定された具体的な財産についての遺贈)の場合は、不動産取得税が発生します。
- 遺贈の場合は、不動産登記の登録免許税が高くなります。
- 有価証券などは、「取得費加算の特例」などの特例を活用すると節税が期待できます。
当事務所で対応した場合
※相続税に関する細かなアドバイスについては、当事務所では対応しておりません。税理士などの専門家にお早目にご相談ください。