遺言書の種類
遺言は自分が亡くなった後の法律関係(財産、身分など)を定めるための、最終の意思表示のことです。法律上の効力を発生させるためには、民法に定める方式に従わなければなりません。
遺言書の方式は法律で定められているので、これに違反する遺言は無効になってしまう可能性があります。
また、遺言書を残すことは遺産分割の意思表示を自らすることにより、相続人である相続人同士(配偶者、子など)のトラブルを防ぐとともに、面倒な分割協議の手続きの負担も軽減できます。
遺産分割による相続トラブルの76%は相続額が5,000万以下で発生しています。1,000万以下でも30%を超えています。
遺産の価額 | 遺産分割事件件数 | 割合 |
---|---|---|
1000 万 円 以 下 | 2,448 | 33.9% |
5000 万 円 以 下 | 3,097 | 42.9% |
1 億 円 以 下 | 780 | 10.8% |
5 億 円 以 下 | 490 | 6.8% |
5 億 円 を 超 え る | 42 | 0.6% |
算 定 不 能 ・ 不 詳 | 367 | 5.0% |
計 | 7,224 |
遺言の種類は特別なものを除くと、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。一般的に遺言書を書くことの多いのは、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらかになります。
<遺言書に寄せられる誤解>
- 一度遺言書を作成したら変更するのが大変なのでは?
- いつでも本人の意志で自由に変更や撤回をすることができます。
- 遺言書に記載している財産でも売買などで処分することもできます。
- 遺言書を残すほど財産がない!
- 統計にもあるように、実際には「少額でもめる」ケースが多いです。
- 財産を整理を整理してみると家屋や土地、美術品など簡単に分割できないものも多くあります。
- 遺言は縁起が悪い
- 財産を整理したり、人生を振り返ったりすることで完成時に達成感があります。
- 遺言書の作成するのが目的ではなく、相続人のために自分の意思を残すことです。相続とは関係のたいことでも付言事項で自分の家族への思いを残すこともできます。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言者によって本文・氏名・日付のすべてを自筆して作成する必要があります。
主な要点
- 本人が全文を自筆する
- パソコンやワープロを使うことはできません、代筆も不可
- 財産目録についてはパソコン等で作成して、署名押印する方法でも可能
- 日付を記載する
- 作成日を年月日で表記
- 吉日など不明確な日付は不可
- 自分の名前を記載する
- 印鑑を押す
- 認印でも可、実印が望ましい
- 訂正する場合も所定の方式に従う必要があります
- 変更する場所を指示して、変更したことを明記し、別途署名し変更箇所に押印する
- 保管は自分でする必要があります
- 法務局の自筆証書保管制度などを利用
- 保管場場所は自由です。ただし、貸金庫には入れないでください、検認手続きが大変手間になります
- 証人が不要
- 家庭裁判所での検認が必要
- 遺言書の保管者または発見した相続人は、開封前に遺言書を家庭裁判所に提出して検認の手続きを受ける必要があります
- 法務局の自筆証書保管制度であれば検認は不要です
公正証書遺言
公正証書遺言は、遺言書の紛失や変造などのリスクを回避する場合に有効です。公証人が作成し、公証人役場に原本保管されるため、明確で、安全確実です。
主な要点
- 本人が口述したものを公証人が筆記する
- 自筆の必要性はありませんが、署名は必要
- 口述に関しては事前に案を作成してからになりますのでご心配不要です
- 各種書類が必要
- 印鑑証明書
- 相続人等の戸籍全部事項証明書
- 住民票
- 固定資産評価証明書
- 不動産の登記簿謄本
- など
- 証人が必要
- 証人2人以上の立ち合いが必要
- 推定相続人およびその配偶者などは証人になれません
- 公証人が手配することも可能
- 公証人役場に原本保管
- 遺言者が生存中の場合は、本人以外は家族であっても検索請求できません
- 家庭裁判所での検認が不要