風俗営業許可を取得するには

スナック、キャバレー、ゲームセンター、マージャン店など特定の店を開業するときには、所轄の警察署へ申請を行い公安委員会から風俗営業許可を取得する必要があります。

風俗営業は、営業形態に応じて第1号~第5号、特定遊興飲食店営業、深夜酒類提供飲食店営業と7つの種類があります。いわゆる性風俗に関連するものは、風俗営業とは区別されており性風俗関連特殊営業という別の届出が必要となります。

風俗営業の種類

種類区分内容
第1号営業許可接待をして客に遊興または飲食させる営業(社交飲食店)クラブ・キャバクラ・スナック、ホストクラブ
第2号営業許可客に飲食させる営業で店内の照度を10ルクス以下として営業(低照度飲食店)カフェ、バー
第3号営業許可客に飲食させる営業で他から見通すことが困難で広さが五平方メートル以下である客席を設けて営む(区画席飲食店)特殊喫茶
第4号営業許可マージャン、パチンコその他設備を設けて客に射幸心をそそる恐れのある遊戯をさせる営業マージャン店、パチンコ店
第5号営業許可スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える営業ゲームセンター
特定遊興飲食店営業許可ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、深夜の時間帯に客に対して飲食(酒類を提供して営むものに限る)させる営業で、午前0時以降も営業するものクラブ、ディスコ、ライブハウス
深夜酒類提供飲食店営業届出接待をせずに、午前0時以降も酒類を提供する営業バー、ガールズバー、飲食店
風俗営業の種類

接待とは

歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと

  • 特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為
  • 特定少数の客に対して、専らその客の用に供している客室又は客室内の区画された場所において、ショー、歌舞音曲等を見せ、又は聴かせる行為
  • 特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを勧奨し、若しくはその客の歌に手拍子をとり、拍手をし、若しくは褒めはやす行為又は客と一緒に歌う行為
  • 特定の客の相手となって、その身体に接触しながら、当該客にダンスをさせる行為、また客の身体に接触しない場合であっても、特定少数の客の近くに位置し、継続して、その客と一緒に踊る行為
  • 特定少数の客と共に、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為
  • 客と身体を密着させたり、手を握る等客の身体に接触する行為、また客の口許まで飲食物を差し出し、客に飲食させる行為

遊興とは

営業者側の積極的な行為によって客に遊び興じさせること

  • 不特定の客にショー、ダンス、演芸その他の興行等を見せる行為
  • 不特定の客に歌手がその場で歌う歌、バンドの生演奏等を聴かせる行為
  • 客にダンスをさせる場所を設けるとともに、音楽や照明の演出等を行い、不特定の客にダンスをさせる行為
  • のど自慢大会等の遊戯、ゲーム、競技等に不特定の客を参加させる行為
  • カラオケ装置を設けるとともに、不特定の客に歌うことを勧奨し、不特定の客の歌に合わせて照明の演出、合いの手等を行い、又は不特定の客の歌を褒めはやす行為
  • バーなどでスポーツ等の映像を不特定の客に見せるとともに、客に呼び掛けて応援等に参加させる行為

FAQ

接待をともなう飲食店で深夜0時以降も営業したいのですが?

接待行為をともなう飲食店(社交飲食店)は、風俗営業許可 第1号営業 許可が必要になります。風俗営業許可は深夜0時以降の営業ができません。

ただし、例外的に各都道府県ごとの条例で深夜1時まで認められている地域があります。仙台市国分町の一部などは条例にて深夜1時まで営業が可能です。

ダーツバーは風俗営業許可必要?

ダーツ以外のゲーム機がなく、深夜0時までの営業であれば許可不要です。以前、ダーツマシンは射幸心をそそる恐れのある遊具として解釈されていましたが、平成30年9月の警察庁通達で対象外となりました。
深夜0時以降に酒類を提供する形で営業を行う場合は、深夜酒類提供飲食店営業の届出は必要です。また、ダーツ大会を開催するような営業形態の場合は、特定遊興飲食店営業の許可が必要になります。

風俗営業許可を取得すれば飲食店営業許可は不要?

許可の目的が異なるため、飲食店営業許可と風俗営業許可の両方が必要となります。飲食店営業許可は保健所、風俗営業許可は警察署と管轄も異なります。

風俗営業許可の更新期間は?

有効期間はありません。そのため更新の手続もありません。
ただし、別途取得が必要となる飲食店営業許可は個別に状況によって5年から8年の有効期間がありますので、更新忘れによる期限切れ無許可営業にご注意ください。

無許可で風俗営業を実施した場合のリスクは?

無許可での風俗営業で摘発された場合、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金(併科あり)という刑事罰となる可能性があります。

風俗営業許可を受けられない人(欠格事由)

  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、又は第31条に規定する罪若しくは刑法第235条、第247条、第254条若しくは第256条第2項に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から起算して5年を経過しない者
  • 暴力的不法行為等を行う者
  • アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
  • 風俗営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して5年を経過しない者
  • 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者
  • 法人でその役員のうち上記の欠格事由に該当する者があるもの

許可申請(第1号営業の場合)

風俗営業許可には、現地営業店での立会検査があり、適切な設備となっているか実地確認されます。そのため、図面・求積図、照明・音響設備配置図など事前に多数の確認書類の提出が必要となります。

許可要件

人的要件

場所的要件

  • 用途地域の制限 下記以外の地域では認められません
    • 商業地域
    • 近隣商業地域
    • 準工業地域
    • 工業地域
    • 工業専用地域
  • 保護対象施設からの距離(宮城県の場合)
施設商業地域近隣商業地域および準工業地域その他
学校、保育所、幼保連携型認定こども園、児童遊園、児童公園、図書館50m70m100m
病院、診療所等30m50m70m
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例 別表第1より

構造的要件

  • 客室床面積が和室1室につき9.5㎡以上、洋室1室につき16.5㎡以上(客室が1室のみのときは制限なし)
  • 営業所の外部から客室が見えないこと
  • 客室に見通しを妨げる設備がないこと(高い間仕切りなど)
  • 客室内の照度が5ルクスを超えること
  • 風俗を害するおそれのある写真・装飾等の設備がないこと
  • 騒音・振動の数値が条例で定める数値以下であること
  • 客室の出入口(営業所外に直接通ずる出入口は除く)に施錠の設備を設けないこと

管理者の選任

  • 営業所ごとに専任の管理者を1名設置する必要があります
  • 管理者は、営業所における業務を統括管理し、業務が適正に行われるように管理する必要があります
  • 3年おきに公安委員会の管理者講習を受ける必要があります

必要書類

  1. 許可申請書 様式1号
  2. 営業の方法 様式2号
  3. 営業所の使用権原を疎明する書類
    • 使用承諾書
    • 賃貸借契約書の写し
  4. 営業所の平面図
    • 図面・求積図
    • 照明・音響設備配置図
  5. 建物の概略図(1階入口および入居階)
  6. 営業所の周囲の略図
  7. 住民票の写し
    • 本籍(外国人の方については国籍等)が記載されたもので、「個人番号」の記載がないもの
    • 個人:本人と営業所の管理者、法人:監査役以上の役員全員と営業所の管理者
  8. 身分証明書(身元証明書)
    • 本籍地の市町村で取得(日本国籍を有する人のみ)
    • 個人:本人と営業所の管理者、法人:監査役以上の役員全員と営業所の管理者
  9. 法人の登記事項証明書、定款
    • 法人のみ
    • 定款の事業目的にが本許可事業が含まれていること
  10. 誓約書
    1. 個人:本人と営業所の管理者、法人:監査役以上の役員全員と営業所の管理者
    2. 申請者本人が管理者を兼ねる場合や法人で代表者や役員の中に営業所の管理者を兼ねる場合は、管理者用誓約書も提出
  11. 写真
    • 管理者のみ
    • 写真 2 枚(6 月以内撮影、無帽、正面、上三分身、無背景、縦 3.0cm・横 2.4cm、裏面に氏名及び撮影年月日を記入したもの)
  12. 料金表(システム料金、メニュー料金)
  13. 飲食店営業許可証の写し
  14. 委任状
  15. 手数料 新規許可 24,000円
    • 不許可の場合でも手数料は返還されません

立合検査

  • 申請から1~2週間後に営業所の実地検査がおこなわれ、申請内容と現地で差異がないか確認されます。
    • 店内の椅子とテーブルの配置
    • 証明の位置と明るさ(スライダックスはNG)
    • 音響設備の確認
    • 見通しを妨げる設備がない(高さ100cm以下)
    • 外から店内が見えない
    • 料金の店内の掲示
    • 従業員名簿、苦情処理簿の用意
    • 禁止プレートの掲示
      • 「18歳未満の方の立ち入りをお断りします」
      • 「20歳未満のお客様への種類提供はいたしません」
    • 迷惑行為防止措置
      • 営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼしてはならない旨を表示した書面を営業所の見やすい場所に掲示
  • 実地検査は風俗環境浄化協会が行います。警察の生活安全課も立ち合い、消防署の検査も合わせて行われることもあります。

注意事項

  • 同一のビルに風俗営業許可を取得している店舗がある場合でも、その店舗が許可取得後に保護対象施設が近隣に設置された場合、そのビルでは 風俗営業許可をあたらに取得できない可能性があります。
  • 風俗営業許可が取得できたら、許可証は営業所の見やすい場所に掲示しておかなければいけません。
  • 風俗営業に就労できる外国人は、就労に関して制限がない 特別永住者・永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者の在留資格を持つ人だけです。

許可証の交付日数

申請から目安として55日(土日祝含まず)となっています。
※書類の不備、添付書類の不足、差し換え等があった場合は、遅れる場合があります

当事務所で対応した場合

不明点があれば、お気軽にお問い合わせください。

参考