食品衛生法の新しい営業許可・届出制度

平成30年の食品衛生法の改正により営業許可業種が見直され、新しい制度が令和3年6月1日から始まります。

再編された新許可業種・届出業種は、令和3年6月1日から適用されます。以下の経過措置が設けられています。

旧制度 新制度 経過措置期間等
許可業種 許可業種 施行時に有している許可は期限満了まで有効です。期限満了前に更新の案内を送付しますので、引き続き営業を継続される場合は、案内に従って手続きをしてください。
許可業種以外 許可業種 令和6年5月31日まで許可を取得してください。
(施行後3年間の経過措置)
許可業種 届出業種 施行時に届出済とみなされます。改めての届出は不要です。
許可業種以外 届出業種 令和3年11月30日まで届出してください。
(施行後6カ月間の経過措置)

許可が必要となる業種

営業許可を取得するためには、各都道府県等の条例で定める施設基準を満たす、調理場や製造施設が必要となります。

  業種 定義 概要・留意点
1 飲食店営業 食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業 ※その場で客に飲食させるか、又は短時間のうちに消費されることを前提として、飲食に最も適するように食品を加工成型すること
●旧法の喫茶店営業(自動車・露店含む)、露店及び自動車の菓子製造業は、本業種に統合
2 調理の機能を有する自動販売機により食品を調理し、調理された食品を販売する営業 調理の機能を有する自動販売機により食品を調理し、調理された食品を販売する営業 ●自動販売機による飲食店営業と旧法の喫茶店営業を統合
●屋内に設置され、自動洗浄装置を有する等、一定の要件を満たす場合は許可対象外(届出対象)
3 食肉販売業 鳥獣の生肉(骨及び臓器を含む)を販売する営業 ●容器包装に入れられた状態で仕入れ、そのままの状態で販売する営業は許可対象外(届出対象)
●未加熱のとんかつ、コロッケ等の半製品の調製・卸売は可能これらを調理し完成品を販売する場合は飲食店営業の許可が必要
4 魚介類販売業 店舗を設け、鮮魚介類(冷凍したものを含む)を販売する営業 ●容器包装に入れられた状態で仕入れ、そのままの状態で販売する営業は許可対象外(届出対象) ●付帯的な調理(魚介類を茹でる、焼くなど)は可能
5 魚介類競り売り営業 鮮魚介類を魚介類市場において競り売り、入札、相対による取引で販売する営業 ●仲卸は含まれない
6 集乳業 生乳を集荷し、これを保存する営業 ※搾乳後殺菌等の処理が行われていない動物の乳
●生牛乳、生山羊乳だけでなく生乳全般が対象
●豆乳は動物の乳ではないため対象外
7 乳処理業 生乳を処理し、若しくは飲用に供される乳の製造(小分けを含む)をする営業 ●乳製品(飲料に限る、乳酸菌飲料含む)、清涼飲料水の製造も可能
●牛乳、山羊乳だけでなく動物乳全般が対象
8 特別牛乳搾取処理業 牛乳を搾取し、特別牛乳に処理する営業  
9 食肉処理業 食用の目的で鳥※1若しくは獣畜※2をとさつ・解体し、又は解体された鳥獣の肉、内蔵等を分割・細切する営業 ※1 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律に規定する食鳥以外の鳥をいう
※2 と畜場法に規定する獣畜以外の獣畜をいう
●細切した食肉の小売販売も可能
10 食品の放射線照射業 放射線を照射する営業 ●ばれいしょの発芽防止の加工のみ認められている
11 菓子製造業 菓子(パン及びあん類を含む)を製造する営業 ●旧法のあん類製造業を統合
●□完成品を製造する営業であり、菓子種(冷凍パン生地、もなかの皮等)の製造は含まれない
●調理パンも製造可能
●客が購入した菓子やパンに飲料を添えて施設内で提供することも可能
12 アイスクリーム類製造業 アイスクリームその他液体食品又はこれに他の食品を混和したものを凍結させた食品を製造する営業 ※アイスクリーム、アイスシャーベット、アイスキャンデー、みぞれ等
13 乳製品製造業 乳製品(アイスクリーム類を除く)及び乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%未満を含むもの)を製造する営業 ※乳等省令に規定する乳製品の製造が対象
●製造は小分けを含む(固形物の小分けを除く)
●固形分の小分けは、食品の小分け業の対象
14 清涼飲料水製造業 生乳を使用しない清涼飲料水又は乳製品(飲料に限る)を製造(小分けを含む)する営業 ●生乳を使用しない乳酸菌飲料製造業を統合
●生乳を使用しない乳飲料も製造可能
15 食肉製品製造業 ハム、ソーセージ、ベーコンその他これらに類するもの(食肉製品)を製造する営業 ●食肉・食肉製品を使用したそうざい及びそうざい半製品(牛肉コロッケ、肉ギョウザ、生ハンバーグ等)の製造も可能
●食肉製品製造のための食肉の処理も可能
16 水産製品製造業 魚介類その他の水産動物若しくはその卵を主原料とする食品を製造する営業 ※魚、貝類、イカ、タコ等に加え、クジラ、カエル、カメ等を含む。ワカメ等の海藻は対象外
●旧法の魚肉練り製品(かまぼこ、ちくわ等)の製造を統合
●水産動物等若しくは水産動物等を主原料とした食品を使用したそうざいも製造可能
17 氷雪製造業 氷を製造する営業 ●仕入れた氷の小分け、小売業者等への販売は氷雪販売にあたり、届出対象
18 液卵製造業 鶏卵から卵殻を取り除いたものを製造(小分けを含む)する営業 ※鶏の卵殻を割って内容物のみを集めたもの
●卵白だけ又は卵黄だけのものも対象
19 食用油脂製造業 食用油脂を製造する営業 ●旧法のマーガリン又はショートニング製造業を統合
●動物性、植物性及び中間製品、完成品を問わず、サラダ油、天ぷら油等の食用油脂の製造が対象
20 みそ又はしょうゆ製造業 みそ又はしょうゆを製造する営業 ●旧法のみそ製造業としょうゆ製造業を統合
●みそ加工品(粉末みそ、調味みそ等)の製造も可能
21 酒類製造業 酒類を製造(小分けを含む)する営業  
22 豆腐製造業 豆腐を製造する営業 ●豆腐又は豆腐の製造に伴う副産物(おから等)を主原料とする食品(豆乳(すぐに飲用する目的で店頭販売するもの、ただし密封・密栓されたものを除く)、油揚げ、がんもどき、おからドーナツ等)も製造可能
23 納豆製造業 納豆を製造する営業  
24 麺類製造業 麺類を製造する営業 ●生麺、ゆで麺、乾麺、そば、マカロニ等の製造が対象
●調理麺(麺にねぎ、天ぷら、油揚げ、チャーシュー、コロッケ、カレー等を添付したもの)も製造可能
25 そうざい製造業 煮物、焼き物、揚げ物、蒸し物、酢の物、あえ物等、通常副食物として供される食品又はこれらの食品と米飯その他主食を組み合わせた食品を製造する営業 ●そうざいに米飯やパンを組み合わせた食品(弁当、サンドイッチ等)も製造可能
●そうざいには、喫食するために調理が必要なそうざい半製品(油で揚げていないコロッケ等)も含まれる
26 複合型そうざい製造業 そうざい製造業と併せて食肉処理業、菓子製造業、水産製品製造業(魚肉練り製品を製造する営業を除く)、麺類製造業に係る食品を製造する営業 ●HACCPに基づく衛生管理を行う場合に限る
●高度な衛生管理を行うことを条件として、食肉処理業、菓子製造業、水産製品製造業(魚肉練り製品の製造を除く)及び麺類製造業の許可取得を免除
●魚肉練り製品を製造する場合は、水産製品製造業の営業許可が必要
27 冷凍食品製造業 そうざい製造業に係る食品を製造し、その製造された食品の冷凍品を製造する営業 ※「食品、添加物等の規格基準」に規格基準が定められた冷凍品に限る
●小売販売用に包装された農水産物の冷凍品も対象
28 複合型冷凍食品製造業 冷凍食品製造業と併せて食肉処理業、菓子製造業、水産製品製造業(魚肉練り製品を製造する営業を除く)、麺類製造業に係る食品(冷凍品に限る)を製造する営業 ●HACCPに基づく衛生管理を行う場合に限る
●「食品、添加物等の規格基準」に規格基準が定められた冷凍品に限る
●高度な衛生管理を行うことを条件として、食肉処理業、菓子製造業、水産製品製造業(魚肉練り製品の製造を除く)及び麺類製造業の許可取得を免除
●魚肉練り製品を製造する場合は、水産製品製造業の営業許可が必要
29 漬物製造業 漬物を製造する営業 ●漬物を主原料とする漬物加工品の製造も可能(高菜漬炒め、味付けザーサイ等)
30 密封包装食品
製造業
密封包装食品(レトルトパウチ食品、缶詰、瓶詰その他の容器包装に密封された食品)であって、常温で保存が可能なものを製造する営業 ●他の許可業種に該当するものを除く
●食酢(すし酢含む)、はちみつ、その他省令で定められた食品を除く
●従来のソース類製造業の対象のうち、常温で長期間保存することを目的として容器包装に密封された食品はこの許可の対象(その他は届出対象)
31 食品の小分け業 許可を要する製造業において製造された食品(既製品)を小分けして容器包装に入れ、又は容器包装で包む営業 ※菓子製造業、乳製品製造業(固形物に限る)、食肉製品製造業、水産製品製造業、食用油脂製造業、みそ又はしょうゆ製造業、豆腐製造業、納豆製造業、麺類製造業、そうざい製造業、複合型そうざい製造業、冷凍食品製造業、複合型冷凍食品製造業、漬物製造業が対象
●製造に付随した小分け行為についてはこの許可を要しない
●調理や小売販売での小分け行為は対象外
32 添加物製造業 添加物を製造(小分けを含む)する営業 ※食品衛生法第13条第1項の規定により規格が定められた添加物が対象
●規格が定められた添加物の小分けを行う場合も対象
●規格が定められた添加物を用いた添加物製剤の製造も対象

届出が必要な業種

許可が必要な業種及び届出が不要な業種以外の全ての食品取扱施設(製造・加工・販売・貯蔵等)は、管轄の保健所(支所)に届出をする必要があります。

  区分 業種
1 旧許可業種であった営業 魚介類販売業(包装済みの魚介類のみの販売)
2   食肉販売業(包装済みの食肉のみの販売)
3   乳類販売業
4   氷雪販売業
5   コップ式自動販売機(自動洗浄・屋内設置)
6 販売業 弁当販売業
7   野菜果物販売業
8   米穀類販売業
9   通信販売・訪問販売による販売業
10   コンビニエンスストア
11   百貨店,総合スーパー
12   自動販売機による販売業(5コップ式自動販売機(自動洗浄・屋内設置)及び営業許可の対象となる自販機を除く)
13   その他の食料・飲料販売業
14 製造・加工業 添加物製造・加工業(食品衛生法第13条第1項の規定により規格が定められた添加物の製造を除く)
15   いわゆる健康食品の製造・加工業
16   コーヒー製造・加工業(飲料の製造を除く)
17   農産保存食料品製造・加工業
18   調味料製造・加工業
19   糖類製造・加工業
20   精穀・製粉業
21   製茶業
22   海藻製造・加工業
23   卵選別包装業
24   その他の食料品製造・加工業
25 上記以外のもの 行商
26   集団給食施設
27   器具,容器包装の製造・加工業(合成樹脂が使用された器具又は容器包装の製造,加工に限る)
28   露店,仮設店舗等における飲食の提供のうち,営業とみなされないもの
29   その他

届出が不要な業種

公衆衛生に与える影響が少ない営業として規定されている以下の業種の営業者については、許可又は届出は不要です。

  1. 食品又は添加物の輸入をする営業
  2. 食品・添加物の運搬・貯蔵のみを行う営業(食品の冷凍・冷蔵業は除く)
  3. 容器包装に入れられ,または容器包装で包まれた食品・添加物のうち,常温で品質が長期間劣化しないものを販売する営業(例:カップラーメン,ペットボトル入り飲料)
  4. 合成樹脂以外の器具・容器包装の製造業
  5. 器具・容器包装の輸入・販売業

※食品衛生法上の「営業」に該当しない業種(農業、水産業)についても届出対象外となります。
※学校・病院等の営業以外の給食施設のうち,1回の提供食数が20食程度未満の施設や,農家や漁業者が行う採取の一部とみなせる行為(出荷前の調整等)についても届出対象外となります。

当事務所で対応した場合

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